デジタル広告費が年々増加する一方、弁護士・法律事務所がオンライン経由で新規相談者を獲得する競争も激化しています。検索連動広告やSNS運用はもちろん効果的ですが、“最短距離で法律相談者と出会える” 手段として、法律相談ポータルサイト(以下、ポータルサイト)の存在感が年々高まっています。
利用者の行動変化:スマホで「弁護士 相談 〇〇市」を検索し、そのまま匿名でQ&Aを書き込んだり、レビューを読み比べたりするユーザーが増加。
プラットフォームの進化:AIチャット応対、ビデオ面談即予約、24 時間ホットラインなど、機能面での差別化が進行。
本記事では、ポータルサイトを活用した集客を検討する弁護士・法律事務所向けに、
ポータルサイトを選ぶ際に押さえておきたいポイント
2025 年 4 月時点で実際に稼働している主要サイトの一覧
を整理しました。まずは選定基準を押さえたうえで、貴事務所の案件分野やご予算に合う媒体を取捨選択してみてください。
ポータルサイトの選び方
弁護士・法律事務所がポータルサイトを選定するときは、費用の単純比較ではなく「どのような相談者に、どれだけ確実にリーチできるか」 を中心に評価します。以下の6項目をチェックしたうえで、複数媒体を3か月ほど並行テストし、費用対効果を定量的に測るのが王道です。
1. 相談者の属性と流入経路を確認する
- 個人案件か企業法務か。離婚・交通事故は個人、顧問契約やM&Aは企業ニーズが高い──媒体によって読者像は大きく異なります。
- SEO(検索流入)が強いのか、テレビCM・新聞サイト連携など外部チャネルを持つのか。“どこから”相談者が来るのかは受任率に直結します。
2. 「地域×分野」の掲載枠数をチェックする
多くのポータルは 都道府県 × 取扱分野 で掲載枠の上限を設けています。
競合が飽和した枠では効果が薄れるため、
- 主要エリアが空き枠か
- 分野特化サイトなら、その分野でトップクラスの媒体に載れるか
を必ず営業担当に確認しましょう。
3. 料金形態と ROI を可視化する
料金形態 | 概要 | 適するフェーズ |
---|---|---|
月額固定 | 掲載料+問い合わせ無制限。費用が読みやすく、案件単価が安定している分野向き。 | 実績があり安定集客を目指す事務所 |
クリック課金(CPC) | 広告クリックごとに課金。少額スタートでき、分野やKWを柔軟に試せる。 | 開業初期〜テスト段階 |
ハイブリッド(掲載+広告枠追加) | 基本掲載料に加え、特設バナーやリスティングを媒介社側で運用。 | 競合が多い都市部で差別化したい事務所 |
注意:弁護士職務基本規程に従い、案件金額に連動した紹介手数料を第三者へ支払う形態(いわゆる成功報酬)は認められていません。
4. 相談リードの“質”を高める機能
- 24 時間チャット・電話ホットライン
刑事・交通事故など緊急性の高い案件では必須。 - 匿名 Q&A 掲載・コラム投稿
回答・記事数が多いほどサイト内検索順位が上がる仕組みを採用する媒体が増えています。 - 顧客レビュー/口コミ
成立後に依頼者へ口コミを依頼し、指名検索時の後押しに。
5. レポートとサポート体制
月次で 表示回数・クリック数・問い合わせ数・CV率 を開示する媒体は PDCA を回しやすく、改善提案も受けやすいのがメリットです。担当 CS が付き、広告文面やプロフィールの修正を代行してくれる媒体なら、運用負荷を大きく下げられます。
6. 広告審査とコンプライアンス
掲載原稿は各弁護士会の広告審査ガイドラインに沿う必要があります。
誇大・比較広告、ミスリーディングな費用表示は規程違反となる恐れがあるため、公開前に必ず自己チェックし、必要に応じて広告審査を受けましょう。
集客ポータルサイト一覧(2025 年 4 月時点)
※課金モデルは媒体公開情報・インタビューに基づく一般的区分です。契約条件や一部例外は媒体に直接ご確認ください。
よくある質問(FAQ)
ポータルサイトを初めて利用する際や運用を続ける中で、よくいただく質問を Q&A 形式でまとめました。掲載検討時の参考にしてください。
Q1. ポータルサイトだけで十分に集客できますか?
A. ポータルサイトは“いますぐ相談したい”層を短期で獲得しやすい反面、中長期的なブランディングやリピート顧客化には自社サイト・SNS 運用との併用が欠かせません。まずはポータルで案件を回収し、その実績をオウンドメディアや口コミへ循環させる設計が理想です。
Q2. 枠が空いていない地域や分野では掲載できませんか?
A. 多くの媒体は空き枠待ちリストを用意しています。競合事務所が退会したタイミングで優先案内されることもあるため、希望エリアが塞がっていても問い合わせておく価値はあります。また、隣接エリア掲載+オンライン面談で補完するケースも増えています。
Q3. 口コミ評価が低い場合、掲載停止したほうがよいですか?
A. 一時的に非表示にする手もありますが、低評価コメントへの真摯な返信がかえって信頼につながる例も多くあります。事実誤認があれば媒体に削除依頼が可能か確認し、解決済み案件で高評価を依頼するなど“平均点を押し上げる”運用が現実的です。
Q4. 複数媒体を試す場合、どのくらいの期間で効果測定すべきですか?
A. 最低 3 か月(繁忙月を含めて 1 四半期)を推奨します。理由は ① 掲載初月は露出調整で変動が大きい、② リスケ・再相談で 1〜2 か月後に成約する案件があるためです。問い合わせ数・受任率・平均売上を KPI とし、四半期ごとに媒体ポートフォリオを見直しましょう。
ポータル活用は“短期キャッシュフロー”と“長期ブランディング”の橋渡し
ポータルサイト掲載は、開業直後でも比較的短期間で問い合わせを生む 即効性の高い施策 です。一方で、問い合わせはあくまで入口。受任後の対応品質やレビュー管理、事務所サイト・SNS への導線づくりを怠れば、コストだけが膨らみます。
- 短期:ポータル経由で“いますぐ相談”層を獲得し、キャッシュフローを安定化
- 中期:口コミ・実績を蓄積し、同一プラットフォーム内で掲載順位アップ
- 長期:オウンドメディアと組み合わせ、指名検索や紹介案件を増やす
この 3 ステップを意識すると、掲載費が“経費”から“投資”へと変わります。まずは本記事の一覧から 1 媒体を選び、3 か月単位でテスト&改善 に取り組んでみてください。成功パターンを掴めば、他の分野特化サイトや広告施策へ横展開しやすくなります。